賃貸事務所をはじめよう。

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分譲業者とすればマンションの売り出し価格は決定しているわけだから、工事金額が上乗せされればその分、原価がふくらみ自分たちの利益を圧迫することになる。 そんなことは極力避けたいわけで、追加請求が起きないように現場で調整するのである。
ではどうするのかというと、追加工事金額に見合った減額工事を変更工事として発生させてプラスマイナスゼロに収めるのだ。 契約済みの買い主は、パンフレットやモデルルームで説明を受けたことについてはしっかりと記憶に残しているだろうから、それは変更できない。
もちろん重要事項説明書類で説明済みの内容についても変更できないので、それ以外の場所で減額工事をひねり出すことになる。 具体的には、部屋の中については使用する壁紙や床のカーペットまで説明してしまっているから、変更しやすい箇所となるとどうしても共用部分ということになる。
たとえばパンフレットや重要事項説明書類に、「外壁タイル貼り、一部吹き付け塗装」となっていれば、値段のはるタイル貼りの面積を少なくして、安価な吹き付け塗装の面積を増やすのである。 外観のパースにも表現されていないような、隣地の建物との間で目に触れにくい位置にある外壁のタイル貼りを中止するというのがこの場合の常套手段だ。
面積を調整するのではなく素材そのもののグレードを落とすという方法もある。 外壁を覆う塗装にしるタイルにしろ、質も値段もピンキリなのである。
購入者に現物を見せていなければ、似たような色だけれども耐久性で劣る安価な素材に変更することで、大幅な減額工事項目になる。 共用廊下の床の素材を低ランクの物に落としたり、廊下や階段の照明器具のグレード変更や器具の数を減らすというのも、よく行われる減額工事項目の例だ。
これらの変更工事項目はすべて、モデルルームやパンフレットには触れられていないというのが共通した条件である。 それでは買い主にしてみれば、こういう変更を未然に防ぐために、変更前の建物の状況について知りようがないのかというと、そんなことはない。
多くの買い主が見過ごしているもう一つの大事な販促シール、つまり閲覧設計図書にはすべて明記されている。 閲覧用の設計図書にはこのような共用部分に関する細部の説明も書き込まれているはずなのに、買い主の方から設計図書を開いて微に入り細にわたる説明を求める人はまずいない。
先にも述べたように、モデルルームを見学すればそれですべて理解したつもりになってしまう買い主がほとんどだからだ。 分譲業者は、設計図書に異常な興味を示すやっかいな買い主がいつ現われはしまいかと内心ビクビクしながら、多くの買い主の誤解にずいぶん助けられているのである。

それには二つの方法がある。 一つは分譲業者が金融機関、あるいは建設大臣が指定した手付金等保証機関との間で保証委託契約を締結する方法。
もう一つは、保険事業者と分譲業者が保証手付金や中間金を合わせて条文では手付金等というのだが(以前は前金といっていたのが昭和六三年〔一九八八〕の同法の改正でこの用語も改められた)、売り主が業者の物件を工事完了前に売買するとき、授受される手付金等の額が売買代金の五パーセントまたは一○○○万円を超えるには、買い主への所有権移転登記をするまでの間、売り主は手付金等の保全措置を講じ契約締結前に説明させられれば、業者としてもその内容を簡単には変更できなくなる。 逆に説明がなければ、そういった共用部分に関する細かな内容は、契約の際の重要事項説明書類にもいっさい書き込まれていないので、いくらでも変更可能ということになってしまう。
もちろん法律に触れるような変更工事ではないので手抜き工事ではない。 こうして、自分が購入した住戸の玄関の軒先に当初はあったはずの電灯をはずすよう現場にいつの間にか指示が出されていたり、共用廊下の床の仕上げが妙に靴音の響く安価な素材にこれまたいつの間にか変更されていたとしても、まずほとんどの買い主が気づかないのである。
分譲業者が倒産すると悲惨な結末が待ち受けている青田売りの第二の問題点、つまり、手付金や中間金の保全措置については、宅建業法の第四一険契約を締結する方法である。 前者の場合は、業者が銀行等との間で保証委託契約を結ぶと、その銀行からは手付金等の返還債務を連帯保証することを約束した保証書を交付してくれるのでそれを購入者にわたせばよい。
後者の場合も同様で、損害を填補するという保険証券を保険事業者に発行してもらい、これを購入者にわたすのだ。 いずれにしても、業者は保証書等を購入者にわたさないかぎり一定金額を超える手付金等を受け取ることはできない。
違反すれば宅建業法の第六五条二項二号により一年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命ぜられることになり、同法第六六条九号によって、情状の特に重いときには免許を取消されることもある。 ところがそれにもかかわらず、業者の中には買い主がこのような知識を持っていないことにつけ込んで、手付金等の保全措置などまったく取らないまま一○○○万円を超えるカネを平然と受け取っている者もいる。
よくあるのは、手付金については保証書を発行したけれども、その後受領した中間金については何も保証がされていないというようなケース。 分譲業者は、買い主へ所有権移転登記がされるまでの間に受領したすべてのカネについて保証しなければならない。

したがって中間金を受け取るのであれば、業者はまたあらたにその金額に見合った額を保証する旨の保証書を作成しなければならないのに、それがなされていないのである。 買い主にしてみれば、こういう悪質な業者に対しては、保証がないかぎりカネの支払いはいっさい拒否するという姿勢をつらぬかねばならなのである。
第一新築マンションの工事代金は普通、手形で支払われることが一般化している。 特に建設業界全体が工事受注に苦戦するような時代は、工事発注者である分譲業者の発言権がますます強くなるわけだ。
そうなると手形を振り出してから代金が決済されるまでの期間を分譲業者に有利に調整することで、工事代金の大部分が建物竣工後に払われるような支払条件の工事請負契約も可能なしかし中には、仮に保証がされていたとしても百パーセント安心はできない、という意見もある。 現実に分譲業者が工事途中に、それこそいさぎよくパタッと倒産してくれればよいものを、資金繰りに行き詰まりズルズルと建築工事費の支払いを滞納、その結果としていつ竣工引渡しになるのかわからない、というような事態に買い主が巻き込まれないとはいえないからだ。
そうなれば手付金等の保証があるから安心というようなキレイ事で済まされる問題ではなくなってしまたとえば、工事請負契約時に工事代金の一○パーセントを小切手で支払った後は、建物上棟時工事代金の回収のメドが立たなくなれば、建築中の建物は、建設会社がまず、イの一番に押さにかかると思ってよい。 建設会社は、未収の工事代金債権の存在をタテに土地を仮差押えするともに、建物の引渡しもいっさい拒絶するだろう、というのが法律の専門家の意見である。

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